新年明けましておめでとうございます
みなさまにとりまして
健やかで明るい年でありますよう、お祈り申し上げます
2022年寅年。
ジョイントセンターの今年の年賀状に描いたイラストは、
「びょうぶのトラ」という、とんちでお馴染みの一休さんのおはなしにちなんでいます。
ここで、「びょうぶのトラ」のおはなしをご紹介します。
「びょうぶのトラ」
むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
一休さんのとんちの評判を聞いて、殿さまがお城に一休さんを招き入れました。
「さっそくじゃが、そこにあるびょうぶのトラをしばりあげてくれぬか。
夜中にびょうぶから抜け出して悪い事ばかりするので、ほとほと困っておったのじゃ」
もちろん、ひょうぶに描かれた絵のトラが出てくるなんて、うそに決まっています。
しかし有名な絵描きが描いたのでしょうか、びょうぶに描かれたトラはキバをむいて、今にも襲いかかってきそうでした。
「本当に、すごいトラですね。それでは、しばりあげてごらんにいれます。なわを、用意してください」
「おおっ、やってくれるか」
「はい。もちろんですとも」
一休さんはそう言うと、ねじりはちまきをして腕まくりをしました。
そして家来が持ってきたなわを受け取ると、一休さんは殿さまに頼みました。
「それでは、トラをびょうぶから追い出してください。すぐに、しばってごらんにいれます」
それを聞いた殿さまは、思わず言いました。
「何を言うか! びょうぶに描かれたトラを、追い出せるわけがなかろうが」
すると一休さんは、にっこり笑って言いました。
「それでは、びょうぶからはトラは出て来ないのですね。それを聞いて、安心しました。
いくらわたしでも、出てこないトラをしばる事は出来ませんからね」
それを聞いて、殿さまは思わず手を叩きました。
「あっぱれ! あっぱれなとんちじゃ! ほうびをつかわすから、また来るがよいぞ」
こうして一休さんはたくさんのほうびをもらって、満足そうにお寺に帰りました。
おしまい
「びょうぶのトラ」※福娘童話集より引用
今年も、スタッフ一同邁進いたしますので、
どうぞよろしくお願い申し上げます。